猫の皮膚炎では、食事が関係することはありますが、すべてのかゆみ・脱毛・赤みが食事で起こるわけではありません。感染、寄生虫、ノミアレルギー、猫アトピー性皮膚症候群、食物有害反応などを分けて考えます。

食事を見直す場合も、「皮膚に良さそうな食材を足す」だけではなく、食物有害反応の可能性、現在の食事全体、脂肪酸やミネラルなどを確認します。

猫の皮膚症状だけで食物アレルギーとは判断できません

猫の食物有害反応では、かゆみ、自己誘発性脱毛、粟粒性皮膚炎、好酸球性皮膚病変などがみられることがあります。

顔・頭部・頸部、腹部などに症状が出ることがありますが、見た目だけで食物有害反応と他のアレルギー性皮膚疾患を区別することはできません。

まず寄生虫や感染などを確認し、必要に応じて除去食試験を行います。

食物有害反応の診断には、除去食試験と再負荷が必要です

猫の食物有害反応は、血液検査だけで確定するのではなく、一定期間の除去食試験と、その後の再負荷で症状が再現するかを確認して診断します。

2021年の臨床試験では、非季節性のかゆみがある猫32頭に8週間の除去食試験を行い、改善した猫に元の食事などを再負荷して食物有害反応を確認しています。

「このフードに変えたら少しよくなった」だけでは、食物アレルギーが確定したとはいえません。

除去食は「それ以外を食べない」ことが重要です

除去食試験では、主食以外のおやつ、トッピング、味付きの薬などが結果に影響することがあります。

使用する食事は、これまで食べたことのないたんぱく源を使う方法や、加水分解食を使う方法などがあります。

手作りの除去食を用いることもありますが、長期間継続する場合は栄養バランスも確認します。

市販の「低アレルゲン食」でも、すべての猫に合うわけではありません

食物有害反応が確認された猫20頭を対象とした二重盲検試験では、家庭で作った除去食で症状が改善した後、市販の選択たんぱく食を与えると一部の猫で症状が再発しました。

これは市販食が悪いという意味ではありません。食物有害反応では、何に反応するかが猫ごとに異なるためです。

皮膚病では、栄養不足だけを疑わない

たんぱく質、必須脂肪酸、亜鉛、銅、ビタミンなどは皮膚・被毛の維持に関係します。

一方で、皮膚が乾燥する、フケが多い、毛づやが悪いといった症状だけで特定の栄養素不足を診断することはできません。

感染、寄生虫、アレルギー、内分泌疾患などを確認しながら食事内容も評価します。

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皮膚バリアと脂質も確認します

皮膚の角質層では、セラミドなどの脂質がバリア機能に関わっています。

ただし、セラミドや脂肪酸のサプリメントだけで皮膚疾患そのものを治療できるわけではありません。

原因疾患への治療と並行して、食事全体の脂質や必須脂肪酸、皮膚バリアを支える栄養を確認します。

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手作りご飯は、食材を限定しやすいことが利点です

食物有害反応を疑う場合、手作りご飯では使う食材を限定しやすいという利点があります。

ただし、「鶏肉をやめる」「穀物をやめる」と自己判断で一つずつ変えると、何に反応しているのか分からなくなることがあります。

診断目的の除去食は、食材歴を整理したうえで計画的に行います。

長期的な手作りご飯では、皮膚症状だけでなく、全体として栄養に大きな不足や過剰がないかも確認します。

猫の皮膚炎と食事をオンラインで相談できます

チップ宝塚動物栄養クリニックでは、皮膚症状の経過、これまでの食事・おやつ、検査結果、治療歴などを確認しながら食事を考えます。

オンライン栄養相談は全国からご利用いただけます。ただし、強い炎症、感染、痛み、皮膚検査が必要な場合は、対面診療を優先します。

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よくある質問

猫のかゆみは食物アレルギーですか?

食物有害反応は原因の一つですが、ノミ、寄生虫、感染、猫アトピー性皮膚症候群などでも似た症状が出ます。見た目だけでは判断できません。

食物アレルギーは血液検査で分かりますか?

猫の食物有害反応では、除去食試験と再負荷が診断の基本です。血液検査だけで確定するものではありません。

除去食はどのくらい続けますか?

猫の研究では8週間の除去食試験が用いられています。実際の期間は症状や使用する食事に応じて獣医師と決めます。

手作りご飯で食物アレルギーを調べられますか?

使う食材を限定できるため選択肢になります。ただし、食材歴を整理し、試験中は他の食べ物が入らないように管理する必要があります。

参考文献・ガイドライン

  1. Santoro D, Pucheu-Haston CM, Prost C, Mueller RS, Jackson H. Clinical signs and diagnosis of feline atopic syndrome: detailed guidelines for a correct diagnosis. Vet Dermatol. 2021;32(1):26-e6. doi:10.1111/vde.12935.
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  3. Leistra M, Willemse T. Double-blind evaluation of two commercial hypoallergenic diets in cats with adverse food reactions. J Feline Med Surg. 2002;4(4):185-188. doi:10.1053/jfms.2001.0193.

執筆・監修:獣医師 木村菜帆子/チップ宝塚動物栄養クリニック
最終更新:2026年10月