【マラセチア性外耳炎・皮膚炎と食事の関係】

犬や猫で、耳の汚れ、かゆみ、皮膚のベタつき、赤み、においを繰り返す場合、マラセチアが関係していることがあります。
マラセチアは、犬猫の皮膚や耳に存在する酵母様真菌です。
つまり、マラセチアが存在すること自体が、すぐに病気というわけではありません。
問題になるのは、マラセチアが増えやすい皮膚環境になっていることです。
耳掃除をしても、点耳薬を使っても、しばらくするとまた耳が汚れる。
皮膚の赤みやかゆみ、ベタつき、独特のにおいを繰り返す。
そのような場合は、耳や皮膚だけを見るのではなく、体全体の状態や食事内容まで確認する必要があります。
〈マラセチアでよく見られる症状〉
マラセチアが関係する外耳炎や皮膚炎では、次のような症状が見られることがあります。
・耳が赤い
・耳垢が増える
・耳がベタつく
・耳から独特のにおいがする
・耳をかゆがる
・首を振る
・皮膚が赤い
・皮膚がベタつく
・指の間、脇、股、首、口まわりなどをかゆがる
・皮膚が黒ずむ
・同じ場所の皮膚炎を繰り返す
これらは、マラセチアだけで起こるとは限りません。
細菌感染、アレルギー、アトピー性皮膚炎、脂漏症、内分泌疾患、体質、耳の形、生活環境など、さまざまな要因が関係することがあります。
そのため、繰り返す場合は、原因を一つに決めつけないことが大切です。
〈マラセチアはなぜ増えるのか〉
マラセチアは、脂質を利用して増えやすい性質を持っています。
そのため、皮脂が多い子、皮膚がベタつきやすい子、耳の中が蒸れやすい子では、マラセチアが増えやすくなることがあります。
ただし、皮脂が多いからといって、単純に皮膚を洗えばよいという話ではありません。
皮脂の量だけでなく、皮脂の質、皮膚バリア、炎症、免疫反応、食事内容などを合わせて見る必要があります。
皮膚は、体の外側にある臓器です。
そして、皮膚は毎日の食事の影響を受けます。
〈耳だけを治療しても繰り返すことがある〉
マラセチア性外耳炎では、点耳薬や耳洗浄が必要になることがあります。
強い炎症やかゆみがある場合、薬による治療は大切です。
しかし、治療して一度よくなっても、同じように繰り返す場合があります。
その場合に考えたいのは、
・なぜマラセチアが増えやすい耳になっているのか
・なぜ皮膚の炎症が続いているのか
・なぜ皮脂が多い状態になっているのか
・なぜ皮膚バリアが乱れているのか
という点です。
耳掃除だけを続けても、根本的な皮膚環境が変わらなければ、再発を繰り返すことがあります。
〈食事と皮膚の関係〉
皮膚は、食事から作られています。
タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、水分などが不足したり、質が合わなかったりすると、皮膚や被毛の状態に影響することがあります。
特に皮膚トラブルでは、脂質の質が重要です。
脂質は、皮膚バリアや炎症反応に関わります。
一方で、脂質は酸化しやすい栄養素でもあります。
ドライフードは、製造、保管、流通、開封後の保存の過程で、脂質が酸化する可能性があります。
酸化した脂質を日常的に摂り続けることは、皮膚の炎症、皮脂の状態、皮膚バリアに影響する可能性があります。
マラセチアを繰り返す子では、単にフードの種類だけでなく、脂質の質、保存状態、開封後の管理まで確認したいところです。
〈栄養性の皮膚トラブルが見落とされることもある〉
皮膚病というと、アレルギー、アトピー、細菌、真菌、寄生虫などが注目されやすいです。
もちろん、それらの診断と治療はとても大切です。
しかし、栄養状態が皮膚に影響しているケースもあります。
たとえば、
・タンパク質の質や量が足りない
・必須脂肪酸のバランスが悪い
・亜鉛などの微量栄養素が不足している
・食事中の脂質が酸化している
・水分摂取量が少ない
・その子の体質に食事が合っていない
といったことが、皮膚や耳の状態に関係している可能性があります。
皮膚疾患を診る時には、薬だけでなく、食事も確認することが大切です。
〈手作りご飯という選択肢〉
マラセチア性外耳炎や皮膚炎を繰り返す子では、食事を見直すことで皮膚や耳の状態が変わることがあります。
手作りご飯では、食材、水分量、脂質の種類、タンパク質源を調整しやすいという利点があります。
ただし、手作りご飯は、ただ肉や野菜を混ぜればよいものではありません。
成長期、シニア期、慢性疾患がある子、体重管理が必要な子では、栄養バランスを考える必要があります。
当院では、手作りご飯を無理に押しつけるのではなく、その子の体質、病歴、生活環境、ご家族の続けやすさを考えながら、食事管理を一緒に組み立てます。
〈こんな場合はご相談ください〉
・外耳炎を繰り返している
・耳掃除をずっと続けている
・マラセチアと言われたことがある
・皮膚がベタつきやすい
・皮膚や耳のにおいが気になる
・薬を使うとよくなるが、また繰り返す
・療法食を食べない
・手作りご飯を試したいが不安
・今のフードが合っているか知りたい
・皮膚病と食事の関係を相談したい
マラセチアは、単なる耳の汚れではありません。
その子の皮膚が、どういう状態になっているのか。
なぜ繰り返しているのか。
そこまで見ていくことが大切です。
〈当院での相談について〉
チップ宝塚動物栄養クリニックでは、犬猫の一般診療に加えて、食事や栄養管理の相談を行っています。
マラセチア性外耳炎、皮膚炎、かゆみ、ベタつき、繰り返す耳のトラブルについて、診察と食事管理の両面から確認します。
来院が難しい方や遠方の方は、オンライン相談・オンライン診療もご利用いただけます。
オンラインでは、写真、動画、検査結果、現在の食事内容を確認しながら、食事管理や受診の目安をご案内します。
オンラインだけでは判断が難しい場合や、検査・処置が必要な場合は、来院またはお近くの動物病院での対面診療をご案内します。
耳や皮膚のトラブルを繰り返している場合は、耳だけ、皮膚だけではなく、毎日の食事まで含めて一度見直してみてください。

